京成電鉄成田空港線運賃認可申請公聴会における
         岩田典之の反対公述書        
                                平成22年1月26日



 私は白井市で副議長をしております岩田典之と申します。 公述書に従って意見を述べさせていただきますが、本題に入る前に、これまでの経緯を少し説明させていただきたいと思います。

  白井市は、市内には成田空港線の通過駅となる白井駅、西白井駅の2駅があります。両駅の前には「成田新高速線、早期実現!」という大きな看板が立てかけられ、また、市はこの事業に対して、4億8千7百万円を負担していています。市がこの事業に対していかに期待をしているかがご理解いただけると思います。
  それは、この地域の唯一の鉄道である北総線の異常な高運賃が、就職や学校選択の自由を阻害されるなど、開業から30年間にわたり様々な影響を受けてきていましたが、この新線開通により是正される。つまり、誰もがこの新線が開通することにより、当然大幅な値下げがあると思っていたからにほかなりません。

  しかし、今回の運賃認可申請は沿線住民の期待を裏切りるものになりました。
 申請は北総線の運賃体系を基本としたものであり、というより、上野〜空港駅間を1200円と決めて、北総線の高運賃をそのまま残して運賃設定がされています。

 北総線区間の運賃が変わらなければ、この事業は白井市にとっては振動、騒音、通過待ち、都心への時間延長、ホームの危険などデメリットばかりで、何一ついいことはありません。 これでは、何のためにこの事業に多大な負担をし、早期実現のための運動をしてきたのか分かりません。

 この新線開通に合わせて、沿線8自治体と千葉県、鉄道事業者が公金支出などによる、つまり市民の税金を北総鉄道に補助することで、5%弱の値下げをするという合意を11月27日にしましたが、お手元にありますように、白井市議会は2日前の11月25日、12月議会の初日に「合意書への同意を見合わせることを求める」決議をしています。

 また、最終日の12月22日には「成田新高速鉄道開通時には北総線の高運賃を京成本線並み運賃へ統一するようにご尽力いただきたい」という意見書を全会一致で可決をして、関係大臣に提出しているところであります。

  それでは本題に入りますが、この運賃認可申請は鉄道事業法第15条及び第16条に抵触していると思われ、認めるべきではないと考えます。

  第1として、京成電鉄株式会社は第2種鉄道事業者として第3種鉄道事業各社に線路使用料を支払うことになっていますが、100%子会社である千葉ニュータウン鉄道株式会社には3億円あまりしか支払われない。

 それと比較して現在北総鉄道は毎年千葉ニュータウン鉄道に対し、線路使用料を払っているわけですが、例えば昨年度は23億4千万円の線路使用料を払っています。 

  この成田空港線が開通すると京成電鉄は、千葉ニュータウン鉄道の軌道上を北総鉄道とほぼ同じ本数の車両を走らせるわけですから、同じ程度の線路使用料を払って当然なわけであります。 ところが京成電鉄が支払う線路使用料は3億円、北総鉄道は23億円。

 再度申し上げます。
  同じ線路の上をほぼ同じ本数の車両を走らせるのに、京成電鉄は3億円、北総鉄道は23億円。  一般常識では考えられません。

  また、京成電鉄が北総鉄道に支払うことになる線路使用料15億円あまりも19.8kmの路線距離に対して不当に少なく、現在の北総線利用者からの乗り換え分を含めての線路使用料だからなおさら少ないと考えます。

いいですか、千葉ニュータウン鉄道は12.5kmで北総鉄道は23億円あまりを払っているんです。 
 
 このことから京成電鉄株式会社が北総鉄道株式会社及び千葉ニュータウン鉄道株式会社に対し支払われる線路使用料は適性を欠き、鉄道事業法第15条第3項に抵触すると考えられます。

  第2として、現在の京成本線は空港駅利用者に対して140円の加算運賃を課していますが、今回の申請にはそれがありません。

この成田空港線は空港利用者の利便性を図るために造られたものであり、その負担を北総線利用者に求めることは不当な差別的取扱いをすると考えられ、鉄道事業法第16条第5項第1号に抵触すると考えられます。

  空港利用者のほとんどが北総線沿線利用者以外と考えられ、空港利用者に対して応分の負担をかけることが当然であります。

  先ほど京成電鉄株式会社の冒頭陳述では、「受益者負担の観点から、成田空港線利用者に負担をしていただくことで、既存線のみの利用者との公平性を確保したい」という説明がありましたが、
 「冗談じゃあない。」北総線のみの利用者に対し多大な負担が掛かっていることは明らかであります。

  現在、京成本線の京成成田駅から空港駅までの8.1kmは特定運賃を含めて250円加算されています。それに比べて新線では成田湯川駅から空港駅までは11.5kmでわずか70円です。

   いいですか、京成本線は8.1kmで250円です。
   新線は11.5kmでわずか70円です。

  さらに申し上げると、高砂駅から計算すると、成田空港高速鉄道線は8.4kmですが、この区間の運賃加算はわずか70円なのに線路使用料は18億円以上を支払うことになっている。高運賃を負荷する北総鉄道や千葉ニュータウン鉄道の線路使用料と比較して、どう考えても公正とはいえません。

  再度申し上げますが、このこと、つまり現在京成本線に掛けられている空港特定加算運賃を新線では加味していないために、北総線区間が著しく高額な運賃設定となっています。

このことから鉄道事業法第16条第5項第1号に抵触していると思われます。

  3点目として京成電鉄が平成14年に申請した鉄道事業認可申請書に記載の事業収支見積書の算定条件は、輸送人員に現行運賃制度を基に算出していますが、今回申請の運賃設定はそのときの約2倍であり運賃収入は半分となっている。

 そのためこの収入・原価表には疑義があり、鉄道事業法第16条第2項に抵触していると思われます。
鉄道事業者から積算根拠を求めてしっかり審議していただきたい。
 提出された資料をそのまま鵜呑みにすることなく「収入・原価表」を再度検証していただきたいと思います。

  4点目として定期旅客運賃の割引率ですが、現在の北総線と同じ割引率を使っており京成電鉄の他路線と比較して著しく低い。
  特に通学定期の割引率が低いため参考資料のように新線と本線では4倍以上もの違いがある。同じ鉄道会社が、いくら路線が違うとはいえ、このような不当な差別的運賃は異常であります。これは鉄道事業法第16条第5項第1号に抵触していると思われます。

  以上のことからこの運賃認可申請を認めることなく、鉄道事業者に対しこの運賃設定を見直し、再度提出することを求めるべきであります。

  最後になりますが、先週の金曜日に同僚議員と成田空港駅や成田湯川駅を視察したんですが、周辺住民の方から、こういった意見がありました。

「今、日医大病院に通っているんだが、今は息子などに頼んで車で送ってもらっている。目の前にあるこの成田空港線が開通したら自分で通えるので心待ちにしていた。ところが、運賃申請を聞いてびっくりした。印旛日医大駅までの、1駅が、180円だと思っていたら440円と言うではないか。とてもじゃないが電車ではいけない。」 ということなんです。

  この成田新高速鉄道は成田空港利用者の利便性向上のために造られたものであり、その利用者に負担を求めるべきものであります。

  通学や施設、病院などへの生活アクセスとして利用する人に、空港利用者の運賃転嫁をしてはならない。みんなが利用しやすい運賃体系とならなければいけないわけであります。
 このことから京成電鉄株式会社がこの運賃体系を見直すまでは認可しないことを求めまして私の公述を終わります。